ヨーコ・フジワラ×キャシールイーズ

ハワイのトップヨガティーチャーであり師弟関係でもある、キャシー・ルイーズとヨーコ・フジワラ。出会いから3年後、その師弟関係が逆転することに。これまで師としてきた人が生徒となり、これまで弟子としてきた人に指導を仰ぐ。この大きな環境の変化がありながら、揺らがなかったお互いの信頼関係と更にその状況でさらなる成長を遂げた2人の強さ。

【特別対談】ヨーコ・フジワラ×キャシー・ルイーズ第二弾では、師弟関係が逆転した当時のお互いの想いについて語り合って頂く。
第一弾はこちらから

師から生徒へ、弟子から先生へ

キャシーをアジャストしているヨーコ先生

べーさんインタビュー用

キャシー先生がヨーコ先生の生徒になった時期があったとお伺いしましたが、その時の様子を詳しく教えて頂けますか?

ヨーコ・フジワラ

私がキャシーの弟子入りを無事終了した後、パープルヨガで自分のクラス(マイソールクラス)を持たせてもらえることになったのです。私は早朝キャシーのもとで練習をすませ、その後クラスを行っていました。ティーチングを終えたキャシーが私のクラスで練習を始めるようになったのです。

キャシー・ルイーズ

そうね。ここにきて立場が逆転し、私が教えたことをヨーコから指導されるようになりました。すると今度は私が「それは難しすぎるからできない」などと抵抗する悪い生徒になっていたんです!

でもある時点でヨーコに気付きがあったように私のプラクティスにも結果が伴うことになり、彼女を先生として信頼することになりました。確かに私の方がヨガを長く練習しているので経歴としては勝っていますが、今となっては私もまだ練習していない(アシュタンガヨガの)アドバンス・シリーズを練習しているヨーコの方が勝っている部分がありますしね。

そもそも「私が先生なのだから私を敬いなさい!」なんて願ったこともないし、そんな態度をとったこともないと思うわ。

ヨーコは一番長い時間を過ごした「先生」

キャシーをアジャストするヨーコ

ヨーコ・フジワラ

私も今は先生として活動しているけれどまだ生徒としての自覚の方が大きいです。

キャシー・ルイーズ

それは私があなたから学んだことのひとつ。ハワイに越してきてから、 師であるナンシー・ギルゴフには離れていて頻繁に会えず、結果として初めて定期的に練習を見てもらった先生がヨーコでした。

キャシーが「先生」という立場を手放した瞬間

べーさんインタビュー用

お互いに「悪い生徒」だった時期があったと言うのは面白いですね。(第一弾では、ヨーコが悪い生徒だった様子をご紹介しています)

キャシー・ルイーズ

そうでしょう?でも、正直ヨーコにすごく腹立ってた時期もあったわ!(笑)「簡単にやれっていうけど、それがどんなに私にとって難しいかわからないでしょ!私の体のことなんてあなたにはわからない!」と。

でも、その後ふと我に返り自分と向き合ったんです。「今はヨーコが先生なのだから、先生としてのキャシーを手放さないと。生徒としてのキャシーであらねば。」と。こうすることによって先生・生徒間の権力が私たちの中で平等になったのです。

ヨーコ・フジワラ

キャシーは私が弟子入りしている頃から一度も「私はなんでも知っている先生」という態度を取らなかったのが印象的でした。そしてそれが惹かれた理由でもありました。

私は身体能力も高かったのである程度のアーサナもできましたが、過去、キャシーに出会う前に指導を受けてきた先々では、粗探しのように「あれがダメ、これがダメ」と否定され、「自分を越えさせない」という上からの圧力を感じだとこが多々ありました。

でもキャシーは常にポジティブ。彼女ができないことを私ができてもそれをさらに伸ばすように支持してくれました。「上からの圧力」を一切感じませんでした。

キャシー・ルイーズ

それは良いタイミングで出会ったからかもしれませんね。あれより10年前に出会っていたら私もそうしたところがあったかもしれません。でも私たちは年も10離れているし、当時のあなたは20代後半、 私は30代後半。私は年を重ねることによる心身の変化を感じていたし、もうどんなポーズでもできる体ではないかもしれないと疑い始めていた時期でした。

なのに、そこにあなたが「年齢は言い訳にならない。できる。」と言ってきたから腹が立ったのよ。(笑)

でも、ある時ふと気がつきました。それは私がヨーコに言ってきたことだったことを。「言い訳はなし!調子が良かろうが悪かろうが、彼氏がいようといまいが、怪我をしようとしていまいが関係ない。ただプラクティスを続けなさい。」ってね。

ヨーコ・フジワラがまた一つ成長した瞬間

ヨーコ先生の指導風景

ヨーコ・フジワラ

そうは言うけれど、それこそ当時私はガチガチに緊張していました。だって私の先生が今生徒として目の前にいて「私は一体どうすればいいの?!」と。でも恐れていてはダメ、しっかりしなければと自分を奮い立たせました。

キャシー・ルイーズ

確かにそうですね。そこであなたは先生としてまた一つ成長しました。

ヨーコ・フジワラ

キャシーがその後、弟子入りを希望する生徒に教える場面を見てきましたが彼女はいつだって優しく、相手への配慮を忘れません。自分が生徒になる立場に置かれると、どんなに心がざわついていたとしても、新米先生が小さくなってしまうようなことは決して口にしたりしませんでしたね。

そう話してくれた2人からは強い絆を感じずにはいられない。私たちは「先生だから」「生徒だから」という立場や役割で相手を見てしまっていないだろうか。そういったものに縛られず1人の人として相手を敬うことができたとき、本当の「信頼関係」が生まれ、その関係性がお互いを成長させることに繋がるのだということを2人の会話は教えてくれている。

第3弾へつづく