朝日の中心地よさそうにヨガする女性

ヨガセラピストと作業療法士、2つの資格を取得した背景にある思い

マリアが証書を持つ様子

昨年の秋に初開催し、来日の度に満員御礼となっている「メンタルヘルスのためのヨガワークショップ」を担当するマリア・カースティン先生。彼女はERYT500保持者であり、ヨガラテス(ヨガとピラティスを掛け合わせたエクササイズ)の認定講師。また、ヨガセラピーにも精通していることから理学療法士やカイロプラクター、マッサージ・セラピスト、心理学者からの信頼も厚く、彼らのクライアントを任される程です。

それにも関わらず、2017年は改めて2つの資格の取得に挑戦。まず今月は晴れてIAYT(International Association of Yoga Therapists|国際ヨガセラピスト協会)認定のヨガセラピストに。すでにヨガセラピストとしての知識と経験はあったものの、経歴を視覚化するために取得されたそうです。そしてこの年末には作業療法士としての資格を取得できる予定です。

この挑戦を掲げた理由を聞いてみると、彼女には壮大な目標があることが分かりました。

オーストラリア政府に、ヨガを経済的かつ効果的なセラピーとして本格的に認知させたいと思っています。また、ゆくゆくはヨガが有効な治療として認められ、保険の対象になる日がくればと願っています。

つい先日、アメリカ版ヨガジャーナルの記事を「医療従事者も注目!ヨガセラピーがもたらす効果とは」にて紹介しましたが同記事の筆者もマリア先生と同じヴィジョンを掲げていました。マリア先生のこの発言を聞き、欧米ではヨガセラピーが市民権を得つつあることを確信しました。

精神疾患を抱えた患者にヨガを教えて見えた2つの傾向と対処法

瞑想

マリア先生は作業療法士の資格を取得する過程で2ヶ月半、メンタルヘルスの悩みを抱える人々を対象にヨガを教えました。大体クラスは1クラス12名程。「ヨガなんて本当に効くのか」懐疑的な方も多いため、ヨガの効果を丁寧に説明する座学も開催したそうです。

「教えてみてどうだったか」を聞くと、こんな答えが返ってきました。

とにかく指導の難しさ、現実を知りました。とりわけ生徒とつながることや信頼を得ることに苦戦しました。また、ヨガを伝える側の意識が今ここにいてぶれてはいけないことも痛感。表面的な明るさやノリでは到底通用せず、本物であることが問われます。まずは彼らの警戒を解くために座学の講座を行いました。最終的には彼ら自身に主導権を握らせることがメンタルヘルスのためのヨガを成功させる秘訣だと気付きました。

また、教えていて2つの傾向が見えたことを話してくださいました。

1)体との繋がりを失った人

このタイプの方には体との繋がりを取り戻すこと、自分の感覚や呼吸に意識を向けるヨガをエクササイズが有効でした。また、発作が起きたり気分が悪くなった場合はいつでも部屋を出て、心を落ち着かせてから戻ればいいと伝えるようにしました。「自分のペースで自由にやっていい」ことが彼らに伝わってからクラスがよりスムーズに運ぶようになりました。

2)体の感覚に敏感すぎる人、溺れてしまってる人

このタイプの方には「今」や「今置かれている環境」に意識を向けるようリードするのが先決だと気づきました。このための具体的なテクニックを学んでからは患者がパニックにならずにすみました。

 

メンタルヘルスの為のヨガを学んだら、生徒が自分の精神面をケアできるようになった

マリア先生は自分のヨガクラスにメンタルヘルスのためのヨガを取り入れて10年になるそうです。元々は年齢や抱える障害に関係なく、全ての人に参加してほしいという思いがきっかけで試行錯誤を始めたそうです。

そして継続していたら生徒さんが皆、「メンタルヘルスが向上・回復した」と言ってきてくれるようになったと言います。

ヨガをすることで自己肯定感が高まり、自分自身を信頼することができる。人生においてこれ以上心強いことはないわよね!

満面の笑みで話すマリア先生に、深く共感しました。また、そうした目に見える結果に加え、自分自身もメンタルヘルスのためのヨガを学ぶことでより良いヨガ指導者になれたと振り返っていらっしゃいました。

ヨガ指導者はメンタルヘルスの悩みを「予防」することができる

メンタルヘルスのヨガ

以前マリア先生と日本におけるメンタルヘルスの現状について話をしました。国や企業が直視せざるを得ない風潮を作るきっかけとなった、大手広告代理店の若手社員の過労自殺。そしてその後もオリンピック競技場の建設現場で働く若い労働者の過労自殺などの事例が後を絶たないことや、元々日本は自殺率が高いことについて話をしました。

残念なことにオーストラリアも似た状況で、メンタルヘルスの悩みは深刻な問題として捉えられているそうです。

一番の課題に感じていることは、「予防」への配慮が圧倒的に不足していること。メンタルヘルスの悩みは生きていれば皆多かれ少なかれあります。でもポイントは、深刻になる前に歯止めをかけ、症状を改善することです。
呼吸を中心に据えた、簡単なヨガにはそれができます。社会においてヨガ指導者はこの「予防」の部分において、おおいに貢献できると信じています。

いよいよ初開催となる「今求められる!メンタルヘルスケア ヨガ指導者養成講座」。マリア先生が講座で伝えたい3つのことを紹介して、結びとしたいと思います。

【マリア先生が新講座で伝えたい3つのこと】

1. Giving power back to the people(全ての人が本来持つ力を取り戻すサポートをすること)
2. Caring for yourself(ヨガ指導者が自分自身をケアすることの大切さ)
3. Being Real, reading the room, not pretending, and be flexible(現実的であること、部屋の空気を常に読むこと、わかったフリをしないこと、そして柔軟であること)

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