ヨガ指導者がもっと社会的に認められるために。
高尾美穂先生の真剣な想い。
こんにちは。ヨガジェネレーションの亀井です。
本日、オハナスマイル駒沢大学店では、RYT200ヨガ指導者養成講座の5日目が開催されていました。この日の午前中は産婦人科医:高尾美穂先生による「マタニティ・産後ヨガ」の講義でした。押しも押されもせぬ人気で日々大忙しの高尾先生から、妊娠期の女性のからだの仕組みを学べる貴重な機会です。
高尾先生が産婦人科医として経験した実例から放たれる言葉は説得力があり、人の本質に触れながら温かく優しく参加者を包み込みむため、講義の間はたくさんの気づきが得られ、感動で胸がいっぱいになる素晴らしい時間となりました。
ヨガ指導者が社会的に認められるために必要なこと
医師であり、スポーツドクターであり、ヨガ指導者である高尾先生が広い観点から見た時、ヨガ指導者は社会的にまだ認められているとは言えない、とおっしゃいます。それはなぜかと言えば、ヨガ以外の運動指導者が当たり前のように知っているからだの仕組みなどの基本的な知識が、ヨガ指導者に身についている人が少ないと高尾先生は考えているからです。
高尾先生は、医師としてからだのプロフェッショナルであり、ヨガに深い愛情を持つヨギーニでもあります。高尾先生はヨガが人の生活をより健康に・快適にできるものであると知っているからこそ、ヨガ指導者の全体の質を上げたい、と思っていらっしゃいます。高尾先生のお話からは、「西洋医学でまかなえない部分をヨガは補うことができる」という強い確信があるのだなと感じられました。だからこそ、高尾先生はヨガ指導者に期待しているのです。
健康と病気の間にある”未病”と呼ばれる現代人の生活上の悩みを減らし、もっと楽にできる可能性を持つのがヨガであり、ヨガ指導者だと高尾先生は考えています。
正しい知識を身につけて、”人のからだに責任を持つ”ことができるようになるヨガ指導者が一人でも多く増えることを高尾先生は心から願っています。その想いは多忙な医師としての仕事の他に、ヨガ指導をすることの糧になっているのではないかと、真剣に講座を進行する高尾先生の姿を見て、私はそう思いました。
“○○と言われています”を減らそう
例えば、ヨガクラスでアップドッグ(上向き犬のポーズ)をする時に、ヨガ指導者が「このポーズは甲状腺を刺激すると言われています。」と言っているのを聞いたことがありませんか?
それは本当?証明されていることなのでしょうか?今まで自分が受けたクラスでそう言っている先生がいたから、自分も言っている。そんな指導者の方もいるかもしれませんね。
実はヨガのクラスでは、そういうことが数多く起こっていると思いませんか?そこがヨガ業界の甘さ・・なのかもしれませんね。
”○○と言われています”を減らしていこう!
ヨガクラスで”○○と言われています”を減らすためには、エビデンス(科学的根拠のあるもの)があるものを学ぶこと、と高尾先生はおっしゃいます。
自分のヨガの練習は絶対に大切
高尾先生は、ヨガ指導者になる心構えとして、哲学者:アリストテレスの論法をお話ししてくださいました。「ヨガを教えて生徒さんから、ヨガについて、自分が伝えたいことをきちんと伝えられる指導者であるためには3つの要素が必要」とのこと。その条件として第一に挙げられるのは、「エトス|信頼」です。ヨガ指導者である以前に、人として指導する立場にふさわしい自分であるかどうかを、自分を見つめ直して欲しい、と高尾先生はおっしゃいます。
さらにヨガ指導者でいうと「この人はヨガを伝えるのにふさわしい人間かどうか?」いうことです。自分の生活を律した上で、ヨガは”自分のからだと向き合うこと”だからこそ、自分のヨガと向き合う時間を作って欲しい、と高尾先生。ヨガ指導者が自分の練習をしないことは、生徒さんから直接見える部分ではありません。でも、それはクラスやその人自身に現れるはずです。高尾先生も多忙な生活でも、毎朝のご自宅でのプラクティスは欠かさないのだそうです。
体験していないことは伝えられない。
と高尾先生はおっしゃいます。自分の練習を通じてしか、体験できない心のあり方やからだの変化を大切にして欲しい。頭で学ぶ正しい知識も大切ですが、自分の練習(=体験)も大切。その2つが揃ってこそ、人にきちんと伝えられる指導者でいられる、と高尾先生。
真実を伝えることの責任
高尾先生はみなさんに”正しいことを伝える”ことに対して、大きな責任を感じていらっしゃいます。それは産婦人科医として、そして、ヨガが偉大なものであると知る一人のヨギーニとして。両方の立場から自分が積み重ねた知識と、日々実践してきた経験から信じるに値することのみを正しいことしてみなさんに伝えておられます。
高尾先生はエビデンスがあるものとないものを当然ながら、はっきり区別し理解しています。エビデンスがないものについて、一見優しさに見える”甘さ”で、楽に決まっています。でも、高尾先生は目の前にいる生徒と、その先の未来の生徒に責任を持っている。ヨガを信じているからこそ、高尾先生が伝えることに一切の妥協や甘さはありません。私はそれが真の優しさであると思いました。
冒頭で述べたように、高尾先生には「ヨガ指導者が社会的に認められる」という大きな命題があります。”ヨガ指導者が正しい知識をみにつけて、社会的にもっと認められれば、もっと多くの人の笑顔が増やせる”、それが高尾先生の目指すこと。
医療とヨガを牽引する高尾先生から沢山のことを学べた日になりました。
高尾先生、ありがとうございました!