いつかお会いしたいと思っていました!

2022年12月。実に1年以上ぶりに開催となった、柳生直子先生による、ハタヨガの真髄を学ぶ「アイアンガーヨガ<1日集中>基礎講座」の日。関東以外にも北陸、さらには中国地方からのご参加の方も含め、超満員のスタジオにはこんな声があふれていました。

こんにちは、ヨガジェネレーションのなおこです。

半年前に柳生直子先生のアイアンガーヨガと出会い、それ以来あまりの楽しさに、毎週通っていますが(初めてのアイアンガーヨガ!柳生直子先生のアイアンガーヨガクラス体験記はこちらから)、私も1日を通してたっぷりとアイアンガーヨガについて学べる本講座を受講するのは初めて。普段受けているアイアンガーヨガについて、より理解が深められそうで、とても楽しみにしていました。

どんな体験や学びがあった1日となったのか、実際に受講をしたエピソードも交えながら、レポートさせていただきます!

アイアンガーヨガの日本における第一人者・柳生直子先生

生徒に向かって話をしている柳生直子先生
長きにわたりB.K.S.アイアンガー先生から学んでこられた柳生直子先生

世界で最も偉大な指導者の1人と言われるB.K.S.アイアンガー先生によって創設されたアイアンガーヨガ。今やヨガシーンで当たり前に使われているアライメントという理論や、プロップスの数々もアイアンガー先生によって考案されたものであるばかりか、アイアンガー先生の著書『ハタヨガの真髄(Light on Yoga)』はヨガを実践する多くの方にとってのバイブルとなっています。まさに、流派を超えて、どんな現代ヨガもアイアンガーヨガの影響を受けていると言っても過言ではないほど、アイアンガーヨガは現代ヨガの礎となっています。

そんなアイアンガーヨガ創始者であるB.K.S.アイアンガー先生に最も長く師事し、直接指導を受けてこられた柳生直子先生が、今回の講座の講師です。

55回。

みなさん、この数字、なんの数字だと思いますか…?

この数字、実は、柳生先生がこれまでインドに渡られた回数。私が講座前に恐縮ながら渡印の回数を40回、とご紹介してしまっていたのですが、実は40年・55回が正しく、にこにこしながらそう教えてくださいました。

1980年に、日本人として初めてインドのプーナに赴いてからというもの、何度も何度もインドに足を運ばれ、B.K.S.アイアンガー先生から直接指導を受け続けてこられた柳生直子先生。

海外に行ったことのある回数は5回にも満たない私にとって、あまりの回数に驚きを隠せません。

講義中の柳生直子先生とクラスの様子
柳生先生によるB.K.S.アイアンガー先生やインドでのエピソードは興味深いものばかり。思わず聞き入ってしまいます

そんなB.K.S.アイアンガー先生から、生きた学びを受け続けてこられた柳生直子先生のエピソードは、生き生きとした内容ばかり!

例えば、B.K.S.アイアンガー先生が考案された、ヨガマット・ブロック・ブランケット・ベルトなど数々のプロップスについてもこんなエピソードが。

プロップスもね、インドに行く度にどんどん増えていったのよ

と柳生先生。柳生先生がインドに通って学びを深めてこられた歴史は、同時にアイアンガー先生がプロップスを考案し取り入れてこられた歴史でもあり、前回はなかったプロップスが、次にインドに行ったら増えていた!ということもあったそうです。

プロップスがヨガシーンに取り入れられていくという、過程や歴史が生まれ育つその現場と共に過ごしてこられた柳生先生のご経験の貴重さを感じずにはいられません。

みなさんが思うより、最近のできごとなのよ。

ヨガというと、何千年も前からつづくもの、流派の元となるとなおさら、自分とは無縁のはるか昔に生まれたものだと思いがち。

しかし、B.K.S.アイアンガー先生が惜しまれつつこの世を去られたのは2014年。ハタヨガの真髄(Light on Yoga)シリーズの最後を飾る、アイアンガー 心のヨガ―人生に光を灯すために(Light on Life)が発売されたのは、2011年、アイアンガー先生が94歳のこと。ヨガの歴史と言っても、なにも自分とはかけ離れた時代の出来事ではないのだと、そのつながりを近くに感じます。

B.K.S.アイアンガー先生から生きた学びや流派が確立する過程に寄り添うように学びを重ねてこられた柳生先生。そして柳生先生から今まさに学ぼうとしている…

脈々とつづくヨガの歴史の一端を、生きた学びとして受け取れるという本講座のすばらしさを改めて感じ、講座に胸を躍らせます。

「ヨガは人生のパートナー」その真意とは。

木の壁の前で講義中の柳生直子先生
ヨガは人生のパートナー。柳生先生の言葉が心に響きます

ヨガは人生のパートナー。まるで知恵袋のように、健康を保ってくれるものです。目的になってはいけないものなのです。

超満員の参加者の方の自己紹介が一周したあと、柳生直子先生はこのように口を開きました。

人生には、いろいろなステージがあります。

紆余曲折、と柳生先生は表現されていましたが、人生その時々で様々な出来事・ステージが存在するもの。

私ですら頭には人生におけるいくつかのステージが思い描けるのですから、より多くの体験や経験を積み重ねてこられた柳生先生の言葉には、計り知れない重みを感じます。

ヨガがいつも傍らにあり、指針・道しるべとなってきました。その人のすこやかさをサポートするのが使命なのです。

ヨガとはどのようなものか。

生きていくなかで起こる様々なできごと。ヨガの修練をそんなできごとと寄り添うように続け、人生の紆余曲折を乗り越えるための強さとしたり、時に心身を癒すきっかけとしながら、過ごしてこられたのかと、柳生先生のこれまでに思いを馳せました。

ヨガは人生のパートナー。この言葉には、私たちがヨガを日々実践する意味はもちろんのこと、ヨガインストラクターの方など”ヨガを伝える側”として大切なことがつまっているように感じました。

プロップスの使い方を学びつつ、アイアンガーヨガを体験!

アイアンガーヨガクラス中の三角のポーズ
目的をもったポーズをする毎に、どんどん深まるウッティタ・トゥリコーナアサナ

一番のプロップスは、体・肉体です。必要な筋肉をつけ、目的をもってポーズをとることが大切です。

柳生先生のこの言葉から、実際に体を動かす時間が始まりました。

ハタヨガの神髄のウッティタ・トゥリコーナアサナのページ
『ハタヨガの真髄』のウッティタ・トゥリコーナアサナのページ

ウッティタ・トゥリコーナアサナ(三角形のポーズ)を深めること、がこの日のテーマ。

木製のブリックやベルト、ブランケットなどのプロップスを用いながら、鼠径部、体側、腹部…それぞれのパートごとに3~4つ、合計9つものアサナを丁寧におこないます。

重要なのは、1つ1つの動きそのどれもが、ウッティタ・トゥリコーナアサナを深めるための役割をもっているという点。

1つのパートが終わるごとに、ウッティタ・トゥリコーナアサナに立ち返って変化を感じる時間があったのですが、驚くのがその深まり具合。なんとなく体をほぐす、動かす…ではなく、目的のポーズへのレシピがあり、それを着実におこなうことで、効果的に最終的なポーズが深まっていく、驚きの体験でした。

ヨガベルトの使い方を指導する柳生先生
プロップスの使い方も学べる本講座。その体感覚の違いに驚きます

さらに、1つ1つの動きに用いられるプロップスにもポイントがあります。

抜群の安定感の木製のブリックコットンブランケットは、この日のために柳生先生が準備して送ってくださったもの。ヨガベルト1つとっても、初めて出会う方法で使用しながらポーズを深めていきます。

その心地よさには、驚きの声が上がるほど。今後も練習に活かせそうなプロップスの使い方も一緒に学ぶ時間です。

難易度の高いポーズへも自然と近づく!シークエンスの極意

アイアンガーヨガのクラス風景
解剖学に基づく、目的をもったポーズを丁寧におこなってから、テーマとなるアサナへ向かうシークエンス

講座の後半は、シークエンスの理論や実践を学ぶ時間。

丁寧に様々な動きをおこなっていくうちに、最終的には今の自分には難しいだろうと思っていたポーズにも自然と近づいけていける点に、柳生先生のアイアンガーヨガのクラスで毎回驚かされます。

この日のテーマとなったアサナはアーカルナ・ダヌラアサナ。弓の弦を引き絞るように、長座の姿勢から片足を引き上げ、かかとを耳に近づけるポーズです。

ウッティタ・トゥリコーナアサナと同様に、ここでも目指すアサナをいきなりとることは決してせず、まずはそのアサナを深める目的をもったポーズを丁寧に積み上げます。

いくつものアサナを経て、いよいよ最後にアーカルナ・ダヌラアサナをとる時間。

わぁ…耳と足が近い!!

まったく無理をしていないのにも関わらず、普段より1段階も2段階も進んだ状態まで到達できている…、痛みもぎこちなさもないばかりか心地よさも存分に感じることに驚きました。

クラウンチャアサナをとる柳生直子先生
クラウンチャアサナをとる柳生直子先生。難易度の高いポーズにも自然と近づくシークエンスです

アーカルナ・ダヌラアサナの前後のシークエンスでは、クラウンチャアサナ(青鷺のポーズ)といった他のオリジナルポーズも出てきました。

骨格や筋肉を理論に基づいて丁寧に調整した結果だからこそ味わえるポーズの深まり。体感覚が深まったことにより知らぬうちに近づいていたポーズとの出会い。心からわくわくしながら、シークエンスとその極意を味わうことができました。

心に届く、B.K.S.アイアンガー先生からの教え

『アイアンガー108の言葉』のページ
『アイアンガー108の言葉』に収められている言葉。講座中、心に響く言葉との出会いも多くありました

世界が平和であるためには、まず自分という小さな国の平和を築かなければならない。

B.K.S.アイアンガー(柳生直子 訳)

アイアンガー 心のヨガ―人生に光を灯すために(Light on Life)をはじめ、B.K.S.アイアンガー先生の著書の翻訳にも携わられてきた柳生先生。

柳生先生はこの日クラスの中で、アイアンガー先生が残された珠玉のメッセージアイアンガー108の言葉から、この言葉を引用してこうお話してくださいました。

まさに世界的にも不安定な情勢、不安の大きな世の中のである今に響く言葉でした。柳生先生は、こう続けます。

身体は、精神の乗り物。身体のない魂は、飛ぶ力のない鳥のようなものなのです。

過去の自分が作り上げた体の状態、相反するものとの間で揺れ動く心の状態…そんな最中においても自分を映し、整えるきっかけとなるのがヨガなのである。柳生先生の言葉にはそんな思いがつまっているように感じました。

紆余曲折ある長い人生。柳生先生から語られる言葉には、常にヨガを人生のパートナーとして実践し続ける上で、何度でも立ち返りたくなるような力がありました。

そして柳生先生が手にされている本の最後のページには、このような言葉が記されていました。

一つの目的に邁進せよ。私の旅の終わりはあなたがたの旅の始まりになるだろう。

B.K.S.アイアンガー(柳生直子 訳)

B.K.S.アイアンガー先生から柳生先生が直接受け継がれた多くの学び。その旅の軌跡は、柳生先生を通してまさに今日そのエッセンスが私たちに受け継がれ、それぞれの旅のはじまり、または旅の途中の栄養のようにこれからも生かされていくのだと感じました。

こんなに気持ちよく前屈が深められたのは、初めてのことでした!また次も受けたいです!

そんな声とともにスタジオを後にされた参加者のお一人。身体というプロップス、そして私たちのアサナを安全で快適に深めてくれる柳生先生の言葉や、アイアンガーヨガから生まれたプロップスの数々…一人一人のアサナの深まりやヨガをする意義を体験とともに根づかせてくれるような講座を通して、「現代ヨガの礎」その言葉が懐にずしりと落ちるほど、流派を超えた深い学びの一日となったのだと会話の中から感じました。

クラス中、優しい笑顔で生徒をみつめる柳生直子先生
凛としていながらもとてもチャーミングな、魅力あふれる柳生直子先生

私自身も、体を骨格や筋肉といった解剖学的に理解し、アライメント理論にもとづいておこなうことで、アサナが心地よく深まるばかりか、心に染み入る言葉とも多く出会うことで、ますますアイアンガーヨガが、そしてヨガが心から人生において欠かせないものであると実感しました。それを柳生先生から学べること環境を改めてありがたく感じる一日となりました。

ぜひ次回は、ご自身の身体と心で、B.K.S.アイアンガー先生そして柳生先生からの学びを受け取ってみて下さいね。

・柳生直子先生による、ハタヨガの真髄を学ぶ「アイアンガーヨガ<1日集中>基礎講座」

また、ヨガジェネレーションYouTubeやInstagramでは、柳生先生にご出演いただいた動画やライブもご覧いただけます。ぜひこちらもチェックしてみてくださいね。

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