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前回の記事で、ポリヴェーガル理論って何?というところの大前提として、神経系のお話を書いてみました。
こんにちは、ヨガジェネレーションのべーです。
交感神経と副交感神経、この2つのバランス理論というのが一般的でしたが、それに更に踏み込んで、実は副交感神経というのは約75%は迷走神経が占めていて、それには2種類あるんですよ、というお話でしたよね。
◆詳しくは下記から
この神経を説明するには、我々の「進化」を見ていく必要があります。
進化の過程からみる神経系
前回の記事でもご紹介したのが下記の動画。
この動画で、松島先生は、ポリヴェーガル理論についてこうお話しています。
ポリヴェーガル理論は、神経科学や進化論、進化学的な知見をベースにした、人間の安全、逃避、関わりなどを説明できる理論。
びっくりするくらい難しそうに聞こえますね。(笑)なので、一緒に見ていきましょう。
進化学的に見る「自分を守る行動」
前回の記事でもご紹介した通り、ポリヴェーガル理論では自律神経を3つに分類します。まずは交感神経。そして、副交感神経を腹側迷走神経と背側迷走神経に分けて考えます。
これを説明するのに必要なのが生物の進化論です。
このポリヴェーガル理論を提唱した、ポージェス博士は生存を脅かすような状況(ストレスを感じたときなど)の適応反応を爬虫類までと哺乳類以降とでは、大きな違いがあるとしました。
爬虫類までのストレス反応
爬虫類までのストレス反応は、大きく2つに分けられます。
その2つが「不動」と「闘争逃走反応」です。これが、3つの神経系で言う中の、
「闘争逃走反応」=交感神経
「不動」=背側迷走神経
です。命の危険を感じたとき、「まったく動かなくなる(まさに亀が甲羅に入って動かないような反応や死んだふりをする動物たち)」のは、背側迷走神経の反応となります。
逆に「戦う・逃げる」というのが闘争逃走反応。これができるのは交感神経が上手く機能するからです。呼吸数が増え、蓄えられたエネルギーが体から放出され、筋肉に大きな力が入るようになります。
哺乳類以降のストレス反応
ここに新たな神経系が加わるのが、哺乳類以降。上記の防衛に加えて、環境の変化や危機的な状況に対応する、反応するための様式として登場したのが、「社会的防衛行動」です。
危険から身を守るため、生き残るには他の哺乳類、人間であれば他の人間と互いに影響を与え合い、「安全である」と感じられる関係性を一緒に創り上げていく能力を獲得したのです。
中でも人間は、哺乳類の中でも、最も社会的な行動が進化しました。
YouTube動画で松島先生もおっしゃっていますが、
私たち人間というのは、一人前になるのが異様に遅いですよね。
防御能力が低く、攻撃能力も低い。私たちは、個体で生き延びることが困難であり、集団でお互いを守り合うことが必要でした。そして、「安全である」と感じられる関係性を一緒に創り上げていく能力として、適切に相手に情報を伝える術、そして、コミュニケーションが重要となってきます。
これが、表情や声です。
コミュニケーションと聞くと、言葉を用いて話すこと、と捉えられがちですが、実はこの限りではない、と説いているのがポリヴェーガル理論です。表情や声、これらを腹側迷走神経を通じて、私たちは相手に「自分は安全である」「安心して良い相手」というのを伝えているのです。
安心・安全は理屈ではない。「体が反応」している
ここで重要となるのが、この「腹側迷走神経」が反応している「安心・安全」というのは、理屈ではない、ということ。
私たちは無意識のレベルで体が反応しているのです。
https://www.yoga-gene.com/post-80014/
先日、こんな記事を書きましたが、私たちは無意識下のレベルで、この安心・安全を感知しています。松島先生曰くこんなこともお話されていました。
精神療法の予後を規定するのは、治療者と患者さんとの信頼関係性だと言われています
ヨガも人と人との関係性をとても大切にしています。ヨガの語源がユジュ(yuj)だというのは皆さんも知っての通り。結び付けるという意味ですよね。
人との関係性というのはヨガの指導においてとても大切な部分です。先生と生徒との信頼関係あってこそ、ヨガのクラスは成り立ちます。「あ、この先生いいな」というのは、神経系レベルで皆が感知しているということ。
次回は、皆が気になっている、「じゃあヨガってそこで何ができるのか」というところをお話してもらっていますので、皆さんにもまた記事でシェアしようと思います。
ヨガ×ポリヴェーガル理論
11月24日(日)9:30~13:30
参考文献
- ステファン・ポージェス『ポリヴェーガル理論入門』(春秋社、2018年)
- 浅井咲子「今ここ」神経系エクササイズ(梨の木社、2019年)