ヨガ×セルフコンパッションの講義をしている松島先生

今ここに起こっていることに意識を向ける、マインドフルネス。この言葉がヨガ業界に広まり、随分経ちました。

ヨガジェネレーションでも講座を開催していた実績もありますし、「マインドフルネスヨガ」「マインドフルネス瞑想」などヨガ業界でもポピュラーなタイトルとなっています。

今日は、このマインドフルネスという概念にプラスで、一緒に学んでおきたい「コンパッション」という考え方について、精神科医である松島幸恵先生の講義を基に、ご紹介したいと思います。

「今に集中する」マインドフルネスとは?

生徒さんに優しく声をかける幸恵先生

マインドフルネスとは、医学的な文脈で言うと、今ここに次々に現れる経験に対して評価・判断を挟まずに、体験を見ること

という風に、松島先生は講座の中でご紹介されています。

私たちは、過去の経験や先入観、様々な知識や記憶によって、今起こっていることを、「ありのまま見る」ということが難しくなっています。今この瞬間を生きているようでいて、実は過去や未来のことを考えて、「心ここにあらず」の状態が多くの時間を占めています。

過去の過ちを繰り返し思い出しては落ち込み、起こってもいない未来を想像して不安になる。

こんな心の状況から抜け出し、「今この瞬間の気持ち」「今の体の状況」を受け入れる練習をすることで、過去や思考、感情にとらわれない心を育成するというのが、マインドフルネスの目指すところです。

ビジネスの世界でも、アップルやグーグル、フォードなど有名企業が取り入れていることで注目され、瞑想やヨガのプログラムを取り入れているというのは、有名なお話です。

「今ここ」に意識を向けやすい、瞑想やヨガは、マインドフルネスとの親和性が高いというのはヨガをしている人であれば、ピンとくる方が多いことでしょう。

マインドフルネスは一種の暴露療法!?

ヨガジェネレーションでは、昨年から、「ヨガ×セルフコンパッション」というタイトルで、精神科専門医である松島幸恵先生にご登壇頂き、講座を開催して頂いています。

このセルフコンパッションという考え方にも「マインドフルネス」は重要な意味を持ちます。

この講座を立ち上げる際、松島先生とお話をしたことがありました。

マインドフルネスという言葉が認知されるようになり、「今ここにあること」「今自分が体験していること」をよく見ることによって、その体験に辛さを感じてしまう方もいらっしゃいます。マインドフルネスは曝露であるとも精神科領域では指摘されています。

暴露とは、恐怖や不安の原因になる刺激や状況にあえてさらすこと。

つまり、今ここを感じるというのは、健康な人にとっては有効なことでも、辛く感じてしまう人もいらっしゃるということです。特にそこで、マインドフルネスと同時に知ってもらいたいのが「セルフコンパッション」という概念なのです。

コンパッションとは?

ハートを包んでいる手

コンパッションとは、「苦しみを感じているときに自分で自分を優しく見守っていること」を云います。マインフルネスのように、ただ見るだけでは、辛くなってしまいます。

しかし、逃げることはできませんよね。直面するストレスや困難・失敗に対して、それを打開することができる心理状態を持ちたいもの。

そこで大切になるのが、「コンパッション」なのです。松島先生は講座の中でこんな風にお話していました。

コンパッションの『コン』とは共にいるという意味です。上からよしよしってするんじゃないんですよ。隣で寄り添って、優しく見守ることを言うんです。

すごく想像しやすい言葉ですよね。「わたしという人間に対して、優しく見守る姿勢」これに気づくことで、マインドフルネスがより強固なものになるのです。

コンパッションとマインドフルネスはコインの裏表

コンパッションとマインドフルネスはコインの表と裏

さらに、

マインドフルネスとコンパッションはコインの裏と表のようなものなんです。

と松島先生。ただ見る、だけでは辛くなってしまう出来事や自分自身の感情とどう向き合っていくのか、それを教えてくれるのが「コンパッション」です。

セルフコンパッションを養っていくには、マインドフルネスの自分自身の感情や思考を認知し、たとえそれがネガティブなものであっても、評価せずに受け入れることというのは大前提、必要なこと。

つまり、表裏一体。どちらも欠かせない要素なのです。

勇気を持つ「強さ」を養う。セルフコンパッションを勉強してみよう!

幸恵先生のヨガを受けられる貴重な時間

コンパッションとは、何か起こったときの姿勢はもちろんご自身の行動に対しても使える概念です。例えば、相手を喜ばせようと自分が言いたいことを我慢して、いつもにこにこしている。これは、一見いい人に見えるけれど、決して自分に対して優しくない行動ですよね。

コンパッションの行動を起こすには、「自分の心配していること、感情、求めていること」を、勇気を持って相手に伝えること。これがとても大切です。コンパッションは、決して他者にとって良い人になることでも、自分を楽にするためのものでもありません。

自分でしっかり地に足をつけて生きていく、その強さを養うのためのものです。それを育んでいくために、心と体を繋いでくれるヨガはとても良いツールです。

今回、松島先生は講座の中で、ヨガの実践や瞑想の実践はもちろんのこと、「安心・安全な空間作りの方法」「コンパッションマインドを育むワーク」「コンパッションを忘れない・思い出すための方法」なども教えてくれます。

ぜひ一度、松島先生の講義を受けてみてください。精神科医という肩書だけを聞くと少し緊張してしまいますが、とても面白くて優しい先生なので、安心して受講してくださいね!