周りにいる人や周りにある物、目に入ってくる様々な風景。私たちは周りを見渡すとたくさんの情報に囲まれて生きています。

更に、その情報は刺激的でかつ、自分自身でも知らないうちに受け取ってしまっているもの。知らず知らずのうちに疲れている人も少なくありません。

チッタブリッティニローダすると、心が静かになり、微細なものがわかるようになります。微細なもの。皆が言うハピネスとか美しいとかそういうものですね。

そう教えてくれたのは、今日、オハナスマイル祐天寺店で瞑想コースを開催していたクリシュナ・グルジ先生。瞑想コース、今日は、バガヴァットギータの第6章について講義をしていました。

バガヴァットギータ第6章。瞑想のヨガ

ヨガという生き方やヨガの目的、そしてヨガのゴールを物語形式で教えてくれる、聖典として有名なバガヴァットギータ。その物語は、人間として生まれてきたクリシュナ神が、主人公アルジュナに、この世の真理を説く話です。

そのバガヴァットギータの第6章は、瞑想のヨガについて書かれています。

主人公のアルジュナはこんな相談を、クリシュナ神にします。

おおクリシュナ、心は本当に落ち着きのない、乱流のようなもの。強く勝気で、私はそれを風のようにコントロールすることは非常に難しいと思うのです

私たちの心は、様々なものに振り回され、そしてかき乱されることが多い。

イライラしては他人や家族に当たってしまったり

些細な一言で、傷ついて落ち込んだり

小さなことが気になって眠れない日があったり。

揺れ動くことが多い繊細なものです。

そして、このように揺れ動いているときは、美しいものを見ても、美しいと思えないし、楽しいことも楽しいと思えないものです。

あるのに見えなくなってしまう「幸せ」

愛や慈悲、優しさ。全部思いはあるはずなのに。表すことができなくなるし、ケチになる

とグルジ。本当は皆ちゃんと持っているはずの愛や慈悲、優しさ。でも、自分の心が揺れ動いている中では、それを見ることは愚か、与えることができなくなってしまいます。

しかし、バガヴァットギーでクリシュナ神は、

心とは制御することが困難で、落ち着かないものだが、実際には実践によって、それをコントロールすることはできるだろう

と話しています。その実践、それこそが、アヴィヤーサ（修練）とバイラーギャ（離欲）です。

グルジが教えてくれた4つの実践

グルジは、その実践の方法を4つに分けて説明をしてくれました。

①結果を追い求めず、目の前にあるもの、しなければならないことを一生懸命行うこと（カルマヨガ）

②生活の中でヨガをする（アーサナ・プラナヤマ・ムドラ・バンダ）

③神を愛する、バクティヨガ（ジャパ瞑想など）

④瞑想に入る

この4つの段階を踏むことで、瞑想をしやすく、そしていずれ、サマディがわかるとお話していました。

ヨガスートラでも第1章第2節では。

「ヨーガスチッタブリッティニローダハ」

心の作用を制御することがヨーガである.

と言っていますよね。心は、コントロールできると友になり、できないと敵となる…。

心に振り回されることなく、解放されることで私たちは神に心を委ねることができ、本来の自由を手に入れることができるのです。

意識を内側に。初心者の人向けの指導方法

とはいえ、ヨガの初心者、そして意識が外に向きがちな人が内側に向けていく練習は簡単なことではありません。そんなとき、どうすれば良いのか、グルジは指導のポイントを教えてくれました。

皆、隣の人のマットばかり見ます。でも、自分の体だけを見るように言ってください。静かになると外側が気になるけれど、自分の体、それから内側を見る練習をすると大丈夫です。

最終的には、体ではなく「意識」で行うのがヨガです。体は変化をしますよね。特に女性は、男性よりもホルモンバランスなどによって変化をしやすい生き物です。また、年齢を重ねると、アーサナもできなくなってくることが多いですよね。

それでも、出来るのが意識のヨガ。瞑想、ラージャヨガなど、自分の意識を内側に向けていくことで、心の波が収まり、そして、穏やかな心となっていくのです。

「愛や慈悲、穏やかさや優しさ」は目に見えません。最初にグルジが話していた、「微細なものがわかるようになる」というのは、見て触れることができるものに、私たちはつい振り回されてしまいますが、それらをちゃんと感じられる心が手に入るということ。

心の静けさ、というのはこれらを感じ取ることができるようになる心なのです。

グルジの教えてくれるヨガは、ハタヨガはもちろん、ラージャヨガ、瞑想、ニドラ、哲学など体だけでなく、意識にまで届くヨガ。

残り少なくなってきた、グルジのワークショップもぜひ、皆さん受講してみてくださいね。