通訳者は偉大なヨガの教えと私たちの架け橋
突然ですが、ヨガの知識を深めるにも、ヨガ指導の技術と質を向上する上でも、海外の講師の教えを受けることは大変有効であり、近道にもなり得ると思います。もちろん日本にも素晴らしい指導者、第一人者の先生は数多くいらっしゃいます。ですが、その多くは海外にて歴史的・世界的な師から教えを受けています。
さらに、特にアメリカ、イギリス、オーストラリアなどではヨガの社会的認知も日本以上に進んでいます。それだけにヨガの技術の発展や、医療の分野におけるヨガの研究なども目覚ましく、その最先端の叡智を日本にいながらにして学ぶことができるのは大変大きなメリットだと言えるでしょう。 しかしながら、多くの日本人にとってネックとなるのは言語の壁。海外の方と言うだけで、辟易してしまうこともあるでしょう。そんな世界の偉大な教えと私たちとの架け橋をしてくれているのが、<通訳者>と言う存在です。
常に海外講師の言葉の意を汲み取り、長い時間を共に過ごす彼らだからこそ知っている講師の魅力とは何だろうか? 今回は、そんな疑問にお答えするためにベテランヨガ通訳者・キティ(トンプソン浩美)さんに直接インタビューをさせていただきました。
最初にお聞きするのは、世界的ヨガ指導者、キャシー・ルイーズについて。
キャシー・ルイーズとの出会い
早速ですが、キャシー・ルイーズ先生の通訳はどのように始められたのですか?
キャシー先生が来日する際、自分に合う通訳者がいないかを探していたそうなんです。その当時私はブリン・カレダ先生というキッズヨガの講師の通訳を勤めていたのですが、なんとブリン先生はキャシー先生のお弟子さんだったんです。そこでブリン先生が私の通訳をキャシー先生に勧めてくださって。
ブリン・カレダといえば、対象年齢別のキッズヨガプログラムやマタニティヨガなどでも知られる著名な講師です。まず、それほどの講師の師でもあると言うことに驚きました。
キャシー先生の第一印象はどのように感じましたか?
出会ってすぐに「オープンで、分け隔てのない方なんだ」と分かりました。通訳者という仕事柄、出会った先生の性格の伝えたいことなどはなるべく瞬時に感じ取れるように努力しているのですが、出会った時のその印象は、今も全く変わりません。初めて会った時も、すぐに打ち解けて恵比寿のカフェで他愛もない話で盛り上がっていたのを今でも鮮明に覚えています。
キャシー・ルイーズの指導のこだわりとは
先ほど「先生の伝えたいことを感じるように」とおっしゃったのですが、キャシー先生の指導のこだわりや特徴について教えてください。
キャシー先生のこだわりというか、特徴は大きく2つありますね。1つはいかに共感しやすく伝えられるかをとにかく大切にしていますね。例えばジャンプバックのような難しい技術でも、とにかく面白おかしく伝えることに長けているんです。キャシー先生自身の失敗談や、昔意固地だった頃の自分を余すことなくさらけ出すんですよ。
共感しやすいために、本来なら隠しておいても何ら不自然ではないことも、講座ではよくお話されるのですね。
はい。それは、やっぱり相手が腑に落ちることを大切にしているからだと思うんです。知識として知っているだけでは、アーサナ技術も哲学ももったいないですよね。自分の中でその点を線で結びやすくするために、あえてそうしているのだと思います。
実際、キャシー・ルイーズの講座受講者の声を聞くと「あそこまで正直に話してくれるから信頼できると感じた」という声は圧倒的に多いです。
あらゆる女性のためにキャシーがしていること
もう1つの特徴はなんでしょうか?
女性らしい、女性ならではの観点をとても先生にお話できるところですね。1つ目とも繋がるかもしれませんが、彼女は女性だからこそ感じる疾患や更年期の経験なども、本当に正直に伝えるんです。アーサナの失敗談を伝えるよりもずっとセンシティブな部分ですが、それも全部シェアしてくれる。更年期の症状が辛い時に使っていた漢方薬まで(笑)それが誰かのためになるならって、本気で考えている証拠ですね。
自分の至らなかった部分や失敗したことを全て話す。確かにヨガには「サティア(正直)」という言葉がありますが、嘘はつかないまでも、言いたくないことなんてヨガインストラクターでもあって当たり前のことです。それでも、オープンでい続ける彼女の話す言葉は共感を生みます。 それはただ共感で終わるわけではなく、その後のヨガ人生の中で、話す内容が少しでも相手にためになることを願ってのことなのだと知って、衝撃と感激を同時に覚えました。 そこまで、初めて会った生徒全員に平等に愛情を注ぐことができる。本当に特別な先生なのだと、感じずにはいられなかったのです。
第2回は、そんなキャシー・ルイーズがさらに多くの著名な指導者たちから支持される理由と、彼女自身が指導者を育てる上で大切にしていることにまで迫ります。ぜひお楽しみに。